ひかり整骨院のブログ

埼玉県蓮田市と上尾市のひかり整骨院です。

変形性膝関節症

膝の痛みを訴える患者さんで変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis)がある方がいます。

 

今日は変形性膝関節症に関する学術トピックをご紹介します。

  • レ線でOAと診断されても、痛みを伴うものはわずか20-40%程度であり、X線学的膝OAの重症度と痛みの程度は乖離しているーーー変形の度合いと痛みの強さは関係がない
  • 軟骨が摩耗あるいは骨が増殖した状態そのものは、かならずしも痛みの発生とは関係しないーーー軟骨が減るから痛むはウソ
  • 安静時や夜間痛が主体の患者においては、膝関節局所の炎症が主因のことが多いが、中枢神経系の感作の要素が深く関与していることもあり注意を要するーーー線維筋痛症の場合がある
  • 膝関節鏡手術の最も大きな問題は、画像で見られる半月板の断裂像と症状の関連性が不明なことが多い点であるーーー手術をすると痛みがなくなるとは限らない
  • 膝骨切術は、バイオメカニクス的異常を是正する目的に行われているが、バイオメカニクス的異常と疼痛は無関係なことも多いことがこの手術方法の抱える問題点であるーーー手術の意義は、、
  • すくなくとも、術後に続く痛みを訴える患者に対して、「人工関節は問題ない。痛いはずがない」という説明は避けるべきであるーーー痛む原因が膝関節とは限らない
  • 人工関節手術をしても、痛みの入力源は膝局所にたくさん残っており、さらに神経系・心理社会的要因が主に関係している痛みも少なからず存在する。こういったところの認識と対処法がもとめられているーーー痛みを多角的に捉えアプローチする必要がある
  • 保存療法では、運動療法を中心とした非薬物療法薬物療法の併用がガイドラインで推奨されて おり、薬物療法ではNSAIDsが推奨度Aとされ、広く用いられている。しかし、NSAIDsでは疼痛を改善できない患者も多数存在している。このような NSAIDsが効かない疼痛に対し、海外ではオピオイドが有効であるとのエビデンスが、システマティクレビューにより報告されつつある(わが国ではオピオイドは本疾患への臨床経験がなく、ガイドラインに未掲載)。これについて前述の形態学的な話でいえば、構造変化に伴う生体力学的異常が進行している状態で は、NSAIDsでの疼痛治療は困難と考えられ、このような場合にオピオイドの使用を考慮する余地がある。*変形性膝関節症の管理に関するOARSI(Osteoarthritis Research Society International)勧告:OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイ ドライン策定委員会による適合化終了版)ーーーNSAIDsはロキソニンボルタレンオピオイドはアヘンやモルヒネ。長引く膝痛に麻薬が処方される日も近いかもしれません。

f:id:seikotsukumasan:20131031190450j:plain

写真wikipediaより

参照 文献斜め読み http://d.hatena.ne.jp/ucymtr/

   ケアネット http://www.carenet.com/